マウスピース矯正のデメリット7選|後悔しないための注意点と対策

マウスピース矯正は、目立たずに歯並びを整えられる画期的な治療法として人気を集めています。しかし、その手軽さや見た目の良さばかりに目が行きがちで、デメリットを十分に理解しないまま治療を始めてしまい、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースも少なくありません。

この記事では、マウスピース矯正を検討しているあなたが後悔しないために、知っておくべき10のデメリットを徹底的に解説します。失敗例やワイヤー矯正との比較、信頼できるクリニックの選び方まで網羅しているので、ぜひ最後までお読みください。

目次

マウスピース矯正のデメリット10選【後悔する前に要確認】

マウスピース矯正には、従来のワイヤー矯正にはない多くのメリットがある一方で、特有のデメリットも存在します。治療を開始する前に、これらの点をしっかりと把握しておくことが成功への第一歩です。

デメリット1:自己管理が必須で継続が難しい

マウスピース矯正が成功するかどうかは、患者様自身の自己管理能力に大きく依存します。これが最大のデメリットと言っても過言ではありません。

1日20時間以上の装着時間を守る必要がある

マウスピース矯正は、アライナー(マウスピース)を装着している時間に歯が動きます。そのため、1日20〜22時間以上の装着が絶対条件です。食事と歯磨きの時間以外は、基本的にずっと装着し続ける必要があります。「ちょっとくらいなら大丈夫だろう」という油断が、治療計画全体の遅れにつながります。飲み会が多い方や、つい外し忘れてしまう方は、治療が計画通りに進まないリスクが高くなります。

マウスピースの洗浄・管理に手間がかかる

マウスピースは毎日清潔に保つ必要があります。食事の後に歯磨きをするのはもちろん、マウスピース自体も洗浄しなければなりません。これを怠ると、マウスピースに細菌が繁殖し、虫歯や歯周病、口臭の原因となります。また、取り外したマウスピースは専用ケースで保管する必要がありますが、外出先でティッシュにくるんで置いてしまい、誤って捨ててしまったというトラブルも少なくありません。

デメリット2:適応できない症例(歯並び)がある

マウスピース矯正は万能な治療法ではなく、歯並びの状態によっては適応できない、あるいはワイヤー矯正の方が適している場合があります。

重度の叢生(ガタガタの歯)や出っ歯は難しい場合がある

歯を動かすスペースが極端に不足している重度の叢生(そうせい)や、歯を大きく後ろに下げる必要がある重度の出っ歯(上顎前突)などは、マウスピース矯正単独での治療が難しいと診断されることがあります。特に、抜歯が必要となるような難症例では、ワイヤー矯正の方がより確実で効率的に歯を動かせるケースが多いです。

骨格的な問題には対応できない

歯並びの問題が、歯の傾きだけでなく、上顎や下顎の大きさや位置といった骨格に起因する場合、マウスピース矯正だけで改善することはできません。例えば、重度の受け口(下顎前突)や出っ歯で、外科手術を併用する必要があるケースは、マウスピース矯正の適応外となります。

デメリット3:ワイヤー矯正より費用が高くなる場合がある

「マウスピース矯正は安い」というイメージを持つ方もいますが、症例によってはワイヤー矯正よりも費用が高額になることがあります。

全体矯正の費用相場

歯並び全体を治す全体矯正の場合、マウスピース矯正の費用相場は約80万円〜120万円です。一方、一般的な表側ワイヤー矯正の相場は約70万円〜100万円であり、比較するとマウスピース矯正の方が高くなる傾向にあります。これは、オーダーメイドのマウスピースを多数作製するための技工料や、システム利用料などが含まれるためです。

部分矯正の費用相場

前歯など気になる部分だけを治す部分矯正の場合、費用相場は約30万円〜60万円です。これはワイヤーによる部分矯正と同程度か、やや高くなる場合があります。費用は治療範囲や難易度、使用するマウスピースの枚数によって大きく変動するため、必ず事前に総額を確認することが重要です。

デメリット4:装着時の痛みや違和感

「マウスピース矯正は痛くない」と聞いていたのに、実際に始めてみると痛みや違和感に悩まされることがあります。

新しいマウスピース交換時の締め付けられるような痛み

マウスピース矯正は、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら歯を動かしていきます。新しいマウスピースは、次の段階へ歯を動かすために、現状の歯並びよりも少しずれた形に作られています。そのため、交換してからの2〜3日間は、歯が締め付けられるような痛みや圧迫感を感じることが一般的です。この痛みは歯が動いている証拠ですが、人によっては強い不快感となります。

口内炎ができることがある

マウスピースの縁が歯茎や舌、頬の内側に当たってしまい、口内炎ができることがあります。通常は数日で慣れてきますが、痛みが続く場合は歯科医院でマウスピースの縁を調整してもらう必要があります。また、話しにくさや異物感も、慣れるまではストレスに感じるかもしれません。

デメリット5:食事や歯磨きの際の着脱が面倒

毎日繰り返されるマウスピースの着脱を、想像以上に面倒に感じる方は少なくありません。

食事のたびに外す必要がある

マウスピースを装着したまま食事をすることはできません。硬いものを噛むとマウスピースが破損する恐れがあり、熱い飲み物は変形の原因になります。そのため、1日3回の食事はもちろん、間食やおやつの際にも必ず取り外す必要があります。この一手間が、日々の生活の中で大きな負担となる可能性があります。

外食時に人目が気になるケースも

友人とのランチや会社の飲み会など、外食の際には人前でマウスピースを外さなければなりません。洗面所などですぐに外せれば良いですが、状況によっては席で外す必要があり、他人の目が気になるという方もいます。また、外したマウスピースを清潔に保管し、食後には歯磨きをしてから再装着するという一連の流れを外出先で行うのは、慣れるまで大変です。

デメリット6:虫歯・歯周病のリスク管理が必要

マウスピースで長時間歯を覆うことは、口腔内の衛生環境に影響を与え、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。

装着前の歯磨きが不十分だとリスクが高まる

食後に歯磨きをしない、あるいは不十分なままマウスピースを装着すると、歯とマウスピースの間に食べカスや歯垢が閉じ込められた状態になります。唾液による自浄作用が働きにくくなるため、細菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病のリスクが格段に高まります。矯正治療中に虫歯になると、治療を一時中断しなければならず、全体の計画が遅れてしまいます。

糖分を含む飲み物はマウスピースを付けたまま飲めない

水やお茶(無糖)以外の飲み物、特にジュースやスポーツドリンク、甘いコーヒーなどをマウスピースを装着したまま飲むのは厳禁です。糖分がマウスピース内に停滞し、歯が常に糖にさらされる状態になるため、非常に虫歯になりやすくなります。飲み物の種類が制限されることを不便に感じる方もいるでしょう。

デメリット7:アタッチメントが目立つことがある

「透明で目立たない」のがマウスピース矯正の大きな魅力ですが、場合によっては「アタッチメント」という装置により、思ったより目立ってしまうことがあります。

アタッチメントとは歯の表面につける突起物

アタッチメントとは、歯を計画通りに動かすために、歯の表面に接着する小さな突起物のことです。これは歯の色に近い樹脂(コンポジットレジン)で作られていますが、光の加減や角度によってはキラッと光って見えたり、唇が引っかかったりすることがあります。

設置場所によっては見た目に影響する

アタッチメントは、歯を効率的に動かすために必要な場所に設置されます。そのため、前歯など目立つ位置につくことも少なくありません。マウスピースを外している食事中などは、このアタッチメントが歯の表面に付いている状態になるため、「完全に見た目を気にせず矯正できる」というわけではないことを理解しておく必要があります。

デメリット8:歯を削る処置(IPR)が必要な場合がある

歯を並べるスペースを確保するために、歯の側面をわずかに削る「IPR」という処置が必要になることがあります。

IPR(ディスキング)とは

IPR(Interproximal Reduction)、またはディスキング、ストリッピングとも呼ばれるこの処置は、ヤスリのような器具で歯のエナメル質の側面を一層削り、歯と歯の間にわずかな隙間(最大0.5mm程度)を作る方法です。これにより、抜歯をせずに歯を並べるスペースを確保できる場合があります。

IPRによる知覚過敏のリスク

IPRは歯の最も外側にあるエナメル質の範囲内で行われるため、基本的には安全で痛みもほとんどありません。しかし、処置後に一時的に歯がしみやすくなる(知覚過敏)リスクがあります。また、「健康な歯を削る」という行為自体に抵抗を感じる方もいるでしょう。

デメリット9:治療後に後戻りする可能性がある

これはマウスピース矯正に限らず、すべての歯列矯正に共通するデメリットですが、特に自己管理が重要なマウスピース矯正では注意が必要です。

保定装置(リテーナー)の装着が必須

歯列矯正で歯を動かし終わった直後は、歯の周りの骨がまだ安定しておらず、元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きやすい状態です。これを防ぐために、治療後には必ず「保定装置(リテーナー)」を装着する保定期間が必要になります。リテーナーの装着を怠ると、せっかくきれいに並んだ歯が再びガタガタになってしまう可能性があります。

後戻りした場合の再治療には費用がかかる

もし後戻りしてしまい、再度歯並びを治したい場合は、再治療が必要となります。クリニックによっては保証制度がある場合もありますが、基本的には追加で費用が発生するケースがほとんどです。長い時間と高い費用をかけて得た美しい歯並びを維持するためにも、リテーナーの装着は非常に重要です。

デメリット10:滑舌に影響が出ることがある

マウスピースを装着し始めると、一時的に話しにくさや滑舌の悪さを感じることがあります。

慣れるまで話しにくいと感じる

口の中に厚さ0.5mm程度のマウスピースが入るため、特に装着し始めの頃は舌の動きが制限され、違和感や話しにくさを感じることがあります。ほとんどの場合は1〜2週間程度で慣れてきますが、個人差があります。

特にサ行・タ行・ラ行が発音しにくい

マウスピースがあることで舌が上顎に触れにくくなるため、特に「サ行」「タ行」「ラ行」などの発音がしにくくなる傾向があります。接客業やアナウンサー、営業職など、話すことを仕事にしている方にとっては、一時的とはいえ業務に支障が出る可能性があるため、事前に理解しておくべきデメリットです。

マウスピース矯正で後悔・失敗する人の5つの共通点

これまで解説してきたデメリットを踏まえて、実際にマウスピース矯正で「失敗した」「後悔している」という方々には、いくつかの共通点が見られます。ご自身が当てはまらないか、チェックしてみてください。

装着時間を守れず治療期間が延びるケース

最も多い失敗例です。「今日は疲れたから」「少しだけならいいか」と装着時間を守らない日が続くと、歯は計画通りに動きません。その結果、次のマウスピースが入らなくなり、作り直しが必要になったり、治療期間が大幅に延長されたりします。最終的には、当初の予定より費用も時間もかかってしまい、後悔に繋がります

自己判断で治療を中断してしまうケース

痛みや着脱の面倒さ、生活スタイルの変化などを理由に、歯科医師に相談なく自己判断で装着をやめてしまうケースです。治療を中断すれば、歯は元の位置に戻ろうとします(後戻り)。しばらくして再開しようとしても、マウスピースが合わなくなっており、最悪の場合、治療を最初からやり直さなければならなくなります

理想の歯並びにならなかったケース

「思ったような仕上がりにならなかった」という後悔も少なくありません。これは、治療前のカウンセリング不足や、そもそもマウスピース矯正の適応が難しい症例だったにもかかわらず治療を進めてしまった場合に起こりがちです。治療の限界やゴールについて、事前に医師としっかりイメージを共有できていなかったことが原因です。

虫歯や歯周病になってしまうケース

矯正治療中の口腔ケアを怠った結果、虫歯や歯周病になってしまうケースです。歯並びはきれいになったものの、虫歯だらけになってしまっては元も子もありません。虫歯治療のために矯正を中断する必要も出てきます。日々の丁寧な歯磨きとマウスピースの洗浄が、いかに重要かを物語っています。

予想外の追加費用が発生するケース

最初に提示された金額だけで済むと思っていたら、調整料やリテーナー代、マウスピースの再製作費などが別途必要になり、最終的な総額が予想を大幅に上回ってしまったというケースです。契約前に、治療費の総額(トータルフィー)と、追加費用が発生する可能性について、明確に説明してくれるクリニックを選ぶことが重要です。

マウスピース矯正ができない・おすすめしない人の例

以下の特徴に当てはまる方は、マウスピース矯正が適応できない、あるいは治療の継続が難しく、おすすめできない可能性があります。

重度の不正咬合(出っ歯・受け口など)の方

前述の通り、抜歯が必要なケースや、歯を前後・上下に大きく動かす必要がある重度の不正咬合は、マウスピース矯正の適応が難しい場合があります。

抜歯が必要な難症例の方

歯を大きく動かすためのスペースを作るために抜歯が必要な場合、ワイヤー矯正の方が精密なコントロールを得意とします。マウスピース矯正でも対応可能なクリニックは増えていますが、高度な技術と経験が求められます。

インプラントやブリッジが多い方

インプラントは顎の骨に固定されているため、矯正治療で動かすことはできません。ブリッジも連結された歯を動かすことは困難です。これらの補綴物が多い場合、治療計画に大きな制約が生まれるため、マウスピース矯正が適さないことがあります。

徹底した自己管理が苦手な方

1日20時間以上の装着、毎日の清掃、定期的な交換、通院など、マウスピース矯正は患者様自身の協力が不可欠です。ズボラな性格を自認している、仕事が不規則で生活リズムを整えにくいなど、自己管理に自信がない方には、正直なところ難しい治療法かもしれません。

定期的な通院が難しい方

マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて通院頻度は少ない傾向にありますが、それでも1〜3ヶ月に1度は通院し、歯の動きや口腔内の状態をチェックしてもらう必要があります。転勤が多い、多忙で定期的な通院が困難な方は、治療計画が滞るリスクがあります。

【徹底比較】マウスピース矯正とワイヤー矯正のデメリット

どちらの矯正方法を選ぶか迷っている方のために、それぞれのデメリットを比較してみましょう。

費用の違いを比較

一般的に、全体矯正ではマウスピース矯正の方が高額になる傾向があります。ただし、ワイヤー矯正でも目立たない裏側矯正や白いワイヤーを選ぶと、マウスピース矯正と同等かそれ以上の費用がかかります。

治療期間の違いを比較

同様の症例であれば、治療期間に大きな差はないとされています。しかし、マウスピース矯正は装着時間を守れないと期間が延長されるリスクがあります。一方、ワイヤー矯正は装置が付いている限り24時間強制的に力がかかるため、計画通りに進みやすいと言えます。

痛みの違いを比較

ワイヤー矯正は、月に一度の調整時に強い痛みを感じやすいのが特徴です。マウスピース矯正は、新しいものに交換するたびに痛みを感じますが、ワイヤー矯正に比べると弱い力で少しずつ動かすため、痛みは少ない傾向にあります。

見た目の違いを比較

最大の比較ポイントです。マウスピース矯正は透明でほとんど目立ちません。一方、ワイヤー矯正(表側)は金属の装置が目立つという大きなデメリットがあります。

対応症例の違いを比較

ワイヤー矯正は、抜歯症例や骨格的な問題を含むほぼすべての不正咬合に対応可能です。マウスピース矯正は対応できる症例が限られる場合がありますが、近年では技術の進歩により対応範囲が広がっています。

デメリット比較まとめ表

比較項目 マウスピース矯正のデメリット ワイヤー矯正のデメリット
見た目 アタッチメントが目立つことがある 装置(ブラケット・ワイヤー)が非常に目立つ
痛み 交換時に締め付けられる痛みがある 月一の調整時に強い痛みが出やすい
食事 食事のたびに着脱が必要で面倒 食べ物が挟まりやすく、食事制限がある
歯磨き 着脱の手間があるが、磨きやすい 装置が邪魔で磨きにくく、虫歯リスクが高い
自己管理 装着時間など徹底した自己管理が必須 自己管理の必要性は低い(装置は外せない)
対応症例 重度の症例には対応できないことがある ほぼ全ての症例に対応可能
費用 比較的高額になる傾向がある マウスピース矯正より安価な場合が多い
トラブル 紛失・破損のリスクがある 装置が外れる、口内を傷つけるリスクがある

マウスピース矯正のデメリットに関するよくある質問(Q&A)

ここでは、マウスピース矯正のデメリットに関して、患者様からよく寄せられる質問にお答えします。

マウスピース矯正の最大の欠点は何ですか?

最大の欠点は、治療の成果が患者様自身の自己管理に完全に依存している点です。1日20時間以上の装着時間を守れなければ、どんなに優れた治療計画も絵に描いた餅になってしまいます。この自己管理のプレッシャーが、最も大きなハードルと言えるでしょう。

矯正治療で後悔する割合はどれくらいですか?

正確な統計データはありませんが、後悔する方の多くは「治療前の説明不足」「自己管理の失敗」「理想と現実のギャップ」が原因です。デメリットを十分に理解し、信頼できる医師と綿密なカウンセリングを行えば、後悔するリスクは大幅に減らすことができます。

歯列矯正で顔が変わる・ブサイクになる原因は?

歯列矯正で顔の印象が変わることはありますが、「ブサイクになる」というケースは稀です。変化の主な原因は、①抜歯によって口元が下がりすぎる、②噛む筋肉が変化してエラがすっきりする、③噛み合わせが変わり顔の歪みが改善される、などです。意図しない変化を避けるためにも、治療後の顔貌の変化について、事前にシミュレーションなどで確認することが重要です。

治療中の痛みはいつまで続きますか?

痛みのピークは、新しいマウスピースに交換してから2〜3日間です。その後は徐々に和らいでいきます。このサイクルが治療期間中ずっと続きますが、体が慣れてくると痛みを感じにくくなる方も多いです。痛みが我慢できない場合は、歯科医師に相談しましょう。

前歯だけの部分矯正でもデメリットはありますか?

はい、あります。部分矯正は期間が短く費用も抑えられますが、デメリットも存在します。奥歯の噛み合わせは考慮されないため、全体のバランスが崩れる可能性があります。また、後戻りのリスクは全体矯正と同様に存在するため、リテーナーの使用は必須です。適応症例も限られるため、安易に部分矯正を選ぶのは危険です。

デメリットを理解し後悔しないためのクリニック選びの重要ポイント

マウスピース矯正のデメリットを乗り越え、治療を成功させるためには、信頼できるクリニック選びが何よりも重要です。以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。

精密検査(セファロ・歯科用CT)を導入しているか

正確な治療計画を立てるには、歯や顎の骨の状態を3次元的に把握することが不可欠です。レントゲンの一種であるセファロ(頭部X線規格写真)や歯科用CTといった精密検査設備が整っているかは、質の高い治療を受けられるかどうかの指標になります。

担当医の経験・実績は十分か

マウスピース矯正は、どの歯科医師でも同じ結果が出せるわけではありません。ブランド(インビザラインなど)が設けている認定医制度や、症例数(年間症例数など)は、医師の経験を測る一つの目安になります。カウンセリングで、類似した症例の治療経験などを質問してみるのも良いでしょう。

治療計画や費用について丁寧な説明があるか

メリットだけでなく、デメリットやリスク、治療の限界についてもしっかりと説明してくれる医師は信頼できます。また、費用に関しても、治療費の総額や内訳、追加費用の有無などを書面で明確に提示してくれるクリニックを選びましょう。

ワイヤー矯正など他の選択肢も提案してくれるか

あなたの歯並びにとって、本当にマウスピース矯正が最善の治療法とは限りません。ワイヤー矯正を含めた複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを比較説明した上で、あなたに最適な治療法を一緒に考えてくれるクリニックが理想的です。

トラブル発生時のサポート体制が整っているか

「マウスピースをなくしてしまった」「アタッチメントが取れてしまった」といった治療中のトラブルは起こり得ます。そうした場合に、迅速かつ柔軟に対応してくれるサポート体制が整っているかどうかも、事前に確認しておくと安心です。

まとめ:マウスピース矯正のデメリットを正しく理解し、信頼できる歯科医院で相談しよう

マウスピース矯正は、見た目を気にせず歯並びを改善できる非常に魅力的な治療法です。しかし、その裏には自己管理の徹底、適応症例の限界、費用、痛み、後戻りのリスクなど、知っておかなければならない多くのデメリットが存在します。

これらのデメリットを治療開始前にすべて受け入れ、納得できるかどうかが、後悔しないための分かれ道です。そして、最も重要なのは、あなたの不安や疑問に真摯に耳を傾け、専門的な視点から最適な道筋を示してくれる信頼できるパートナー、すなわち歯科医師を見つけることです。

この記事で得た知識をもとに、まずはいくつかのクリニックで無料カウンセリングを受け、ご自身の目で確かめてみてください。デメリットを乗り越えた先には、きっとあなたが望む美しい笑顔が待っています。


免責事項:
本記事は歯列矯正に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。治療に関する最終的な判断は、専門の歯科医師との相談の上、ご自身の責任で行ってください。治療結果には個人差があります。