ホワイトニングで歯がしみる?原因と今日からできる対策5選

ホワイトニング しみる 対策

ホワイトニングで歯がしみる対策

ホワイトニングで憧れの白い歯を手に入れたいけれど、「歯がしみる」「痛い」といった話を聞いて不安に感じていませんか?実際にホワイトニングを始めたものの、キーンとした痛みに悩んでいる方もいるかもしれません。

ご安心ください。ホワイトニングで歯がしみるのは、決して珍しいことではありません。そして、その痛みは原因を正しく理解し、適切な対策を行うことで十分に軽減・予防できます。この記事では、なぜホワイトニングで歯がしみるのか、その原因から、今すぐできる緊急対処法、さらには事前にできる予防策まで、歯科医院での対策も含めて徹底的に解説します。痛みの不安を解消し、快適なホワイトニングで理想の白い歯を目指しましょう。

目次

ホワイトニングでしみる痛みの原因とは?

まず、なぜホワイトニングで歯がしみてしまうのでしょうか。痛みの正体を知ることで、対策も立てやすくなります。主な原因は、歯の構造とホワイトニング剤の化学反応にあります。主な原因は以下の4つです。

ホワイトニング剤による一時的な脱水症状

ホワイトニングで使用される薬剤(主に過酸化水素や過酸化尿素)は、歯の表面にあるエナメル質を通過し、内部の象牙質にある着色物質を分解します。この化学反応の過程で、歯の内部から水分が一時的に奪われます。これにより、歯が一時的な脱水症状を起こし、外部からの刺激に非常に敏感になるのです。

歯の神経(歯髄)は、象牙質の中にある「象牙細管」という無数の細い管を通じて、歯の表面と繋がっています。通常はこの管が閉じられていますが、脱水によって管が開き、薬剤の刺激や温度変化が神経に直接伝わりやすくなることで「しみる」という鋭い痛みを感じるのです。これはホワイトニングによる一過性の反応であり、通常は唾液に含まれるミネラルによって歯が水分を取り戻す(再石灰化する)ことで、24時間程度で自然に落ち着きます。

歯のエナメル質が薄い、または傷ついている

歯の最も外側を覆うエナメル質は、人体で最も硬い組織であり、刺激から歯の神経を守る重要な鎧の役割を担っています。しかし、このエナメル質の厚さには個人差があります。もともとエナメル質が薄い方や、強い力でのブラッシング、歯ぎしり・食いしばりの癖、酸っぱいものの頻繁な摂取(酸蝕症)などによってエナメル質がすり減ったり、表面に微細な傷がついている場合、薬剤の刺激が内部の象牙質に容易に到達してしまい、痛みを感じやすくなります。

特に歯の先端部分や、歯と歯茎の境目はエナメル質が薄くなりやすい箇所のため、ホワイトニング時に痛みが出やすいポイントとして知られています。

虫歯や歯周病、歯の亀裂(クラック)がある

自分では気づかないようなごく初期の虫歯や、歯の表面に入った目に見えないほどの微細なヒビ(マイクロクラック)があると、そこはホワイトニング剤の格好の侵入口となります。健康なエナメル質を迂回して薬剤が歯の内部に直接侵入し、神経に強烈な刺激を与えて激しい痛みを引き起こすことがあります。

また、歯周病によって歯茎が下がると、本来は歯茎に守られているはずの歯の根っこ部分(象牙質)が露出してしまいます。象牙質はエナメル質と違って非常に柔らかく、刺激が伝わりやすいため、薬剤が触れるだけで強くしみてしまうのです。ホワイトニングを始める前に、歯科医院で口腔内を隅々までチェックしてもらい、これらのトラブルがないか確認することが極めて重要です。

知覚過敏の症状が元々ある

冷たい水や熱いお茶、歯ブラシの毛先が触れただけで歯が「キーン」としみる「知覚過敏」の症状を元々お持ちの方は、ホワイトニングによってその症状が一時的に増強されることがあります。

知覚過敏は、何らかの原因でエナメル質が削れ、内部の象牙質が露出している状態です。つまり、常に刺激が神経に伝わりやすい状態にあるわけです。ホワイトニング剤は、この露出した象牙細管への刺激をさらに強めてしまうため、他の方よりも痛みを感じやすくなる傾向があります。

原因 メカニズム しみやすい人の特徴
薬剤による脱水症状 薬剤が歯の水分を奪い、象牙細管が開いて刺激を受けやすくなる 全ての人が対象だが、特に唾液が少ないドライマウス気味の人に起こりやすい
エナメル質の薄さ・傷 外部刺激から神経を守るバリア機能が低下している 歯ぎしり・食いしばりの癖がある、歯磨きの力が強い、酸っぱいものが好き
虫歯・歯周病・亀裂 薬剤が直接神経近くまで侵入する「抜け道」ができてしまっている 口腔ケアが不十分、歯茎が下がっている、詰め物・被せ物の下に問題がある
元々の知覚過敏 既に象牙質が露出し、外部刺激に対して常に敏感な状態 冷たいものや熱いもので歯がしみることが日常的にある

ホワイトニングで歯がしみた時の緊急対処法7選

ホワイトニング中に「キーン!」という耐えがたい痛みが…。そんな時に、すぐに試せる効果的な対処法を7つご紹介します。パニックにならず、まずは落ち着いて一つずつ対応してみましょう。

対処法1:市販の鎮痛剤(ロキソニンなど)を服用する

痛みが我慢できないレベルであれば、市販の鎮痛剤を服用するのが最も手軽で効果的な方法です。ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンSなど)やイブプロフェン(商品名:イブ、リングルアイビーなど)といった非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑制することで、ホワイトニングによる神経の興奮を鎮め、痛みを和らげる効果が期待できます。

ただし、これはあくまで一時的な対症療法であり、痛みの根本原因を解決するものではありません。服用する際は必ず用法・用量を厳守し、胃腸が弱い方は食後に服用する、アレルギーや喘息、腎臓・肝臓の持病がある方は事前に医師や薬剤師に相談するなど、注意点を守ってください。歯科医院によっては、痛みが予想される場合に事前に鎮痛剤を処方してくれることもあります。

対処法2:知覚過敏抑制成分配合の歯磨き粉(シュミテクトなど)を使う

知覚過敏用の歯磨き粉には、「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」といった痛みを抑える有効成分が含まれています。

  • 硝酸カリウム: 歯の神経の周りにカリウムイオンのバリアを形成し、神経細胞が興奮するのを防ぎ、痛みの信号が脳に伝わるのをブロックします。
  • 乳酸アルミニウム: 露出した象牙細管の入り口を直接封鎖し、物理的に刺激が内部に侵入するのを防ぎます。

代表的な商品としては「シュミテクト」が有名です。痛みが気になる部分に、歯磨き粉を直接指で優しく塗り込み、数分間パックのように放置するのも効果的です。ホワイトニング期間中は、普段使いの歯磨き粉を知覚過敏用のものに切り替えることで、痛みの予防にも繋がります。

対処法3:フッ素や硝酸カリウム配合のジェルを塗布する

歯科医院で処方される、あるいは市販されている高濃度のフッ素ジェルや、知覚過敏抑制ジェルを使用するのも非常に有効です。

  • フッ素(フッ化物): 唾液中のカルシウムやリンと結びつき、歯の表面の再石灰化を強力に促進します。これにより、象牙細管の入り口を塞ぎ、物理的に刺激が神経に伝わるのを防ぐ効果があります。また、エナメル質自体の構造を強化し、酸に溶けにくい歯質を作ります。
  • 硝酸カリウム: 対処法2で述べた通り、神経の興奮を鎮める即効性のある働きが期待できます。

これらのジェルを通常の歯磨きの後に歯ブラシで歯全体に塗布し、数分間放置した後、少量の水で軽く1回だけゆすぐようにすると、成分が歯に長く留まり効果が高まります。

対処法4:刺激の強い飲食物を避ける

ホワイトニング後の歯は、表面の保護膜が剥がれ、脱水症状で非常にデリケートな状態になっています。この状態で極端に冷たいもの、熱いもの、酸っぱいもの(pH値が低いもの)、甘いものなど、温度差や浸透圧の差が大きい飲食物を口にすると、象牙細管を通じて神経を直接刺激し、激しい痛みを誘発・悪化させる原因となります。

痛みが治まるまで(最低でも施術後24〜48時間)は、以下のような飲食物は意識して避けるようにしましょう。

  • 温度刺激: アイスクリーム、氷、熱いコーヒー、熱々のスープ、ラーメン
  • 酸性刺激: レモンなどの柑橘類、お酢、ドレッシング、炭酸飲料、スポーツドリンク、ワイン
  • 浸透圧刺激: チョコレート、ケーキ、キャラメル、加糖ジュース

対処法5:ぬるま湯で口をゆすぐ

口をゆすぐ際に冷たい水道水を使うと、それ自体が強烈な刺激となって痛みを引き起こすことがあります。歯がしみる時は、人肌程度の36〜38度のぬるま湯で優しく口をゆすぐように心がけましょう。

これは歯磨きの際も同様です。蛇口から出る冷たい水ではなく、一手間かけてぬるま湯を用意するだけで、歯への刺激を大幅に軽減できます。特に冬場は水道水が冷たくなっているので注意が必要です。このちょっとした配慮が、痛みの緩和に非常に効果的です。

対処法6:ホワイトニングを一時中断する

特にご自身でスケジュールを管理するホームホワイトニングの場合、痛みが強い時は無理をせず、一度ホワイトニングを中断する勇気も必要です。1〜2日、あるいは痛みが完全に引くまで休むだけで、歯の状態が落ち着き、痛みが劇的に和らぐことがほとんどです。

歯を休ませている間は、知覚過敏用歯磨き粉やジェルでケアを重点的に行いましょう。痛みが治まったら、後述する「マウスピースの装着時間を短くする」「ジェルの量を減らす」といった対策を取りながら慎重に再開します。オフィスホワイトニングの場合でも、施術中に強い痛みを感じたら、すぐにスタッフに伝え、施術を中断してもらうことが何よりも大切です。

対処法7:我慢できない痛みなら歯科医院にすぐ連絡

上記の方法を全て試しても痛みが一向に治まらない、夜も眠れないほどの激痛が続く、といった場合は、絶対に我慢せずにすぐにホワイトニングを受けた歯科医院に連絡してください。

予想以上に歯の神経がダメージを受けている、あるいは施術前には見つからなかった虫歯や亀裂から薬剤が深く浸透してしまっているなど、緊急の対応が必要な可能性があります。歯科医師が診察し、高濃度の知覚過敏抑制剤の塗布や、場合によっては神経を保護する薬を詰めるなどの適切な処置を行ってくれます。自己判断で放置することが最も危険な行為です。

ホワイトニングでしみないようにするための事前予防策

「しみてから対処する」のではなく、できれば「しみるのを未然に防ぎたい」ものです。ホワイトニングを始める前に、いくつか対策を講じることで、痛みのリスクをコントロールし、快適なホワイトニング期間を過ごすことができます。

予防策1:ホワイトニング前に虫歯や歯周病の治療を完了させる

これは、安全で効果的なホワイトニングを行う上で最も重要な「鉄則」です。前述の通り、虫歯や歯周病、歯の亀裂はホワイトニングの痛みの最大の原因となります。ホワイトニングのカウンセリングを受ける際には、審美的な相談だけでなく、必ずレントゲン撮影を含む口腔内全体の精密検査もしてもらいましょう

もし治療が必要な箇所が見つかった場合は、必ずホワイトニングの前に全ての治療を完了させてください。健全な口腔環境を整えることが、安全で快適なホワイトニングへの第一歩です。詰め物や被せ物がある場合も、その縁に隙間や段差がないか、二次的な虫歯ができていないかなどを入念にチェックしてもらうことが重要です。

予防策2:知覚過敏用の歯磨き粉を2週間前から使用する

痛みが心配な方、特に過去に知覚過敏を経験したことがある方は、ホワイトニングを開始する最低でも2週間前、できれば1ヶ月前から、シュミテクトなどの知覚過敏用歯磨き粉を使い始めることを強く推奨します。

知覚過敏抑制成分である硝酸カリウムは、継続して使用することで効果が蓄積され、神経の周りのバリア機能が高まります。事前に歯の神経を刺激に慣れさせ、鈍感な状態にしておくことで、ホワイトニング剤による刺激を格段に感じにくくする効果が期待できます。これは、スポーツ選手が本番前に準備運動をするのと同じで、歯の神経を「トレーニング」しておくようなイメージです。

予防策3:薬剤の濃度が低いものから試す

ホワイトニング剤は、主成分である過酸化水素や過酸化尿素の濃度が高いほど漂白効果も高まりますが、それに比例して歯への刺激も強くなります。

特にホームホワイトニングでは、歯科医院によって様々な濃度のジェルが用意されています。初めてホワイトニングを行う方や知覚過敏が心配な方は、まず最も低い濃度の薬剤からスタートし、歯の状態を確認しながら、問題がなければ徐々に濃度を上げていくのが安全な進め方です。歯科医院で相談すれば、あなたの歯質やライフスタイルに合った最適な濃度の薬剤を提案してくれます。早く白くしたいという気持ちは分かりますが、効果を急ぐあまり、最初から高濃度のものを選ぶのは避けましょう。

予防策4:施術時間を短く設定する

薬剤が歯に接触している時間が長ければ長いほど、歯は脱水し、神経への刺激が蓄積されるため、しみるリスクが高まります。

  • ホームホワイトニング: 歯科医師から推奨された装着時間よりも、最初は短い時間(例: 推奨が2時間なら、まずは30分〜1時間)から試してみましょう。数日間試して問題がなければ、徐々に装着時間を延ばしていくのが賢明です。
  • オフィスホワイトニング: カウンセリングの際に、痛みが心配であることを明確に伝え、光の照射時間などを通常より短めに設定してもらうよう相談しましょう。多くの歯科医院で柔軟に対応してくれます。

時間を短くしても、その分施術回数を重ねることで、目標の白さを達成することは十分に可能です。焦らず、ご自身の歯の反応を見ながら進めることが、成功への近道です。

予防策5:歯のクリーニングで表面の汚れを落としておく

ホワイトニングを始める直前に、歯科医院で専門的な歯のクリーニング(PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を受けておくことも、痛みの予防とホワイトニング効果の向上に大きく貢献します。歯の表面に付着した頑固な歯垢(プラーク)や歯石、バイオフィルムといった汚れを徹底的に除去することで、ホワイトニング剤が歯面に均一に浸透し、効果ムラを防ぐことができます。

汚れが残ったままだと、その部分だけ薬剤の浸透が悪くなり、十分な効果を得るためにより高濃度の薬剤を使ったり、施術時間を延長したりする必要が出てくるかもしれません。結果的に、それがしみや痛みの原因につながることもあります。クリーンな状態でホワイトニングを始めることで、より低い刺激で、より効率的に歯を白くすることが可能になるのです。

【種類別】ホワイトニングのしみる対策

ホワイトニングには、歯科医院で集中的に行う「オフィスホワイトニング」と、ご自宅で継続的に行う「ホームホワイトニング」があります。それぞれで特徴が異なるため、しみる痛みへの対策も少し変わってきます。

オフィスホワイトニングでしみる場合の対策

オフィスホワイトニングは、高濃度の薬剤と特殊な光(ライト)を組み合わせて行うため、短時間で劇的な効果が期待できる反面、ホームホワイトニングに比べて一過性の痛みを伴いやすい傾向があります。

施術前に知覚過敏抑制剤を塗布してもらう

多くの歯科医院では、痛みが予想される患者さんや知覚過敏の既往がある患者さんに対して、ホワイトニング剤を塗布する前に、歯の表面に知覚過敏抑制剤(コーティング剤)を塗布するという予防処置を行っています。これは、露出した象牙細管の入り口を一時的に封鎖して刺激をブロックするもので、痛みを大幅に軽減する効果が期待できます。

カウンセリングの際に「歯がしみやすい体質です」「痛みが本当に不安です」と事前に伝えておくことで、歯科医師や歯科衛生士が最大限配慮してくれます。遠慮せずに、ご自身の不安や希望をしっかりと伝えることが大切です。

光照射の時間を調整してもらう

オフィスホワイトニングで使用する光は、薬剤の化学反応を促進し効果を高める役割がありますが、同時に熱を発生するため、これが神経への刺激となって痛みを感じることもあります。

施術中にピリピリ、キーンとした痛みを感じ始めたら、我慢せずにすぐに手を挙げるなどしてスタッフに合図をしましょう。光の照射を一時中断して歯を休ませたり、1回あたりの照射時間を短くしたりすることで、痛みをコントロールできます。我慢は禁物です。1回の照射時間を短くし、その分照射回数を増やすといった柔軟な対応をしてくれる医院もありますので、安心して相談してください。

ホームホワイトニングでしみる場合の対策

ホームホワイトニングは、比較的低濃度の薬剤を長時間かけてじっくりと作用させるため、オフィスホワイトニングよりは痛みがでにくいとされています。しかし、ご自身で管理するため、誤った使用法が痛みの原因になることも少なくありません。

ホワイトニングジェルの量を調整する

マウスピースに注入するジェルの量が多すぎると、歯茎に溢れ出てしまい、歯茎が化学的に火傷した状態(炎症)になり、痛みの原因となります。また、歯の根元(歯頸部)はエナメル質が薄く、しみやすい部分なので、そこにジェルが過剰に付着するのも避けるべきです。

ジェルの適量は、白くしたい歯の唇側のくぼみ一つひとつに、米粒半分〜1粒程度を点状に置くのが目安です。マウスピースを装着した際にはみ出したジェルは、必ずティッシュや乾いた歯ブラシ、綿棒などで丁寧に拭き取りましょう。「量を増やせば効果が上がる」というわけではなく、むしろトラブルの原因になることを理解しておくことが重要です。

マウスピースの装着時間を短縮・回数を減らす

しみる痛みが出てきた場合は、まず装着時間を短くしてみましょう。毎日2時間装着していたなら、1時間に減らす、あるいは1日おき(隔日)にするなど、歯を十分に休ませる期間を作るのが最も効果的です。

ホワイトニングは継続することが大切ですが、痛みを感じながら無理やり続けると、歯にダメージを与えかねませんし、何よりホワイトニング自体が苦痛な時間になってしまいます。ご自身の歯の反応を見ながら、焦らずゆっくり進めていくことが、結果的に継続に繋がり、理想の白さを手に入れる近道となります。

マウスピースが歯茎に当たっていないか確認する

歯科医院で精密に作られたカスタムメイドのマウスピースであっても、その縁が歯茎に強く当たっていたり、尖った部分があったりすると、歯茎を物理的に傷つけ、そこから痛みが生じることがあります。

マウスピースを装着した際に、特定の歯茎の部分に圧迫感や違和感、痛みがないか注意深く確認しましょう。もし問題がある場合は、無理に使用を続けず、作成した歯科医院に持っていき、調整してもらってください。歯科医師が専用の器具でほんの少し縁を削って研磨するだけで、驚くほど快適に使えるようになります。

ホワイトニングのしみる痛みに関するよくある質問

ここでは、ホワイトニングの痛みに関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q. ホワイトニングの痛みはいつまで続きますか?

A. 通常、痛みは施術後数時間〜長くても24時間以内には自然に治まります。
ホワイトニングによる痛みは、薬剤による歯の一時的な脱水症状が主な原因です。そのため、唾液によって歯が再び水分とミネラルを吸収(再石灰化)するにつれて、自然と痛みは引いていきます。長くても48時間以上痛みが続くことは非常に稀です。もし、丸2日以上経っても強い痛みが続く、あるいは痛みがどんどん増してくるような場合は、何か他の原因(虫歯の進行や歯髄炎など)が考えられるため、速やかに歯科医院に相談してください。

Q. 歯がしみるのは我慢した方がいいですか?

A. いいえ、決して我慢しないでください。痛みは体からの「これ以上は危険」というサインです。
特に「激痛」と感じるほどの痛みを我慢するのは絶対にやめてください。歯の神経に不可逆的な(元に戻らない)ダメージを与えてしまうリスクがあります。少ししみる程度であれば様子を見ることもありますが、不快に感じる痛みであれば、本記事で紹介した対処法を試し、ホワイトニングを中断し、歯科医院に連絡することが重要です。我慢して続けることは、歯にとってもご自身の精神衛生上にとっても良いことは一つもありません。

Q. ホワイトニングがめちゃくちゃ痛い場合はどうすればいい?

A. すぐにホワイトニングを中止し、速やかに歯科医院に連絡してください。
ホームホワイトニング中であれば、すぐにマウスピースを外し、ぬるま湯で口をよくゆすいでください。オフィスホワイトニング中であれば、即座に手を挙げるなどしてスタッフに伝えてください。考えられる原因として、施術前の診査では見つけられなかった微細な亀裂や虫歯から薬剤が神経近くまで達してしまい、歯髄炎(歯の神経の炎症)を起こしている可能性があります。放置すると神経が壊死し、最悪の場合、神経を抜く治療(抜髄)が必要になることもあります。とにかく自己判断せず、専門家の指示を仰ぐことが最優先です。

Q. ホワイトニング後、食事で気をつけることは?

A. 施術後24時間は、「色の濃い飲食物」と「刺激の強い飲食物」の2種類を避けてください。
ホワイトニング直後の歯は、表面を覆う「ペリクル」というタンパク質の保護膜が一時的に剥がれており、水分と共に外部の色素も吸収しやすい「着色しやすい状態」になっています。また、歯が敏感になっているため、刺激物で痛みが出やすくなります。

避けるべき飲食物の例 摂取しても良い飲食物の例
【着色しやすいもの】 コーヒー, 紅茶, 赤ワイン, カレー, 醤油, ソース, ケチャップ, チョコレート, ぶどう, ベリー類 【着色しにくいもの】 水, 牛乳, 白米, パン, 鶏肉(ささみなど), 白身魚, うどん, パスタ(クリームソースなど), 豆腐, ヨーグルト
【刺激が強いもの】 柑橘類, 炭酸飲料, 酢の物, キムチなど香辛料の強いもの, 極端に冷たい・熱いもの バナナ, じゃがいも, 大根, カリフラワーなどの色の薄い野菜

基本的には「白い服にこぼしてシミになりそうなものは避ける」と覚えると分かりやすいです。

まとめ:ホワイトニングでしみる場合は正しい対策で快適に歯を白くしよう

ホワイトニングで歯がしみるのは、決して特別なことではなく、多くの人が経験する一過性の症状です。その原因は、薬剤による歯の脱水症状や、ご自身が元々持っている歯の状態にあります。

しかし、痛みの原因を正しく理解し、適切な「事前予防」と「事後対処」を行えば、その不快感は最小限に抑え、安全にホワイトニングを進めることが可能です。

【しみる対策の重要ポイント】

  • 事前準備が最も重要: ホワイトニング前に虫歯・歯周病治療を完了させ、知覚過敏用歯磨き粉で歯を刺激に慣らしておく。
  • 施術中の工夫: 低濃度の薬剤・短い時間から始め、痛みを感じたら我慢せずスタッフに伝える、または中断する。
  • しみたらすぐ対処: 鎮痛剤の服用や知覚過敏用ジェルを使い、刺激物を徹底的に避ける。
  • 無理は絶対に禁物: 強い痛みや長引く痛みは放置せず、必ず歯科医院に相談する。

ホワイトニングは、歯科医師や歯科衛生士という国家資格を持つ専門家の管理下で安全に行うことが大前提です。痛みが不安な方は、カウンセリングの際にその旨をしっかり伝え、ご自身に合った無理のないプランを提案してもらいましょう。正しい知識と対策を身につけて、憧れの白い歯を手に入れてください。


免責事項:本記事はホワイトニングに関する一般的な情報を提供するものであり、個々の症状に対する医学的な診断やアドバイスに代わるものではありません。歯の痛みや口腔内のトラブルについては、必ず専門の歯科医師にご相談ください。市販薬の使用にあたっては、製品の添付文書をよく読み、用法・用量を守って正しくご使用ください。