歯列矯正は美しい歯並びを手に入れられる素晴らしい治療ですが、インターネット上では「やめたほうがいい」「後悔した」という声も少なくありません。費用や期間、痛みに加え、予期せぬ顔の変化や健康上のリスクなど、治療を始める前に知っておくべきデメリットは多岐にわたります。この記事を読めば、あなたが本当に歯列矯正をすべきか、後悔しないために何をすべきかが明確になるでしょう。

歯列矯正は、理想の口元を手に入れるための有効な手段である一方、誰もが必ず満足のいく結果を得られるわけではありません。高額な費用と長い時間を投資したにもかかわらず、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があるのも事実です。
「やめたほうがいい」と言われる主な理由は、①容姿の変化、②健康リスク、③費用・生活面の負担という3つの大きな壁が存在するからです。これらのデメリットを正しく理解し、ご自身の価値観やライフスタイルと照らし合わせた上で、治療に踏み切るかどうかを慎重に判断する必要があります。
この記事では、歯科医師の監修のもと、歯列矯正を「やめたほうがいい」と言われる具体的な理由を、容姿・健康・生活の3つの側面から徹底的に解説します。さらに、矯正治療が向いていない人の特徴や、失敗を避けるためのクリニック選びの鉄則まで網羅的にご紹介します。
【この記事でわかること】
- 歯列矯正をやめたほうがいいと言われる15の具体的な理由
- 矯正治療で後悔しやすい「容姿の変化」と「健康リスク」
- 歯列矯正が向いていない人の7つのチェックリスト
- 逆に歯列矯正をしたほうがいい人の特徴
- 失敗しないためのクリニック選びの鉄則
この記事が、あなたの後悔のない選択のための羅針盤となることを願っています。
歯列矯正をやめたほうがいいと言われる15の理由
歯列矯正を始めてから「やめたい」と思っても、後戻りはできません。「やめたほうがいい」という意見には、それだけの具体的な理由があります。ここでは、特に後悔につながりやすい15の理由を「容姿」「健康」「費用・生活」の3つのカテゴリに分けて、詳しく解説していきます。
【容姿・見た目編】顔の変化で後悔する5つのケース
歯は顔の印象を大きく左右するパーツです。歯を動かすことで顔つきが変わることは珍しくありませんが、その変化が必ずしも良い方向に向かうとは限らないのです。
1. 口元が下がり老け顔・ほうれい線が目立つ
出っ歯(上顎前突)などを改善するために前歯を大きく後ろに下げると、それに伴って上唇も後退します。その結果、鼻の下が間延びしたように長く見えたり(人中が伸びる)、これまで歯で支えられていた口周りの皮膚にたるみが生じ、ほうれい線がくっきりと目立つようになったりすることがあります。
歯並びは美しくなったものの、顔全体のバランスが崩れ、かえって老けた印象になってしまうケースです。特に、抜歯を伴う矯正で口元を大きく変化させる計画の場合は、注意が必要です。
2. 頬がこけて不健康な印象になる
矯正治療中に頬がこけてしまう原因は一つではありません。まず、抜歯によって歯列のアーチが狭くなったり、噛み合わせが変わったりすることで、頬を支える筋肉の使われ方が変化し、頬がこけて見えることがあります。
また、装置の調整後の痛みで硬いものが食べられなくなり、咀嚼筋(噛むための筋肉)が衰えることも一因です。結果として、健康的で若々しい印象だった顔が、疲れて不健康な様子に見えてしまうリスクがあり、後悔につながることがあります。
3. Eラインが理想通りにならず不満が残る

Eライン(エステティックライン)とは、横顔の美しさの指標とされ、鼻先と顎の先端を結んだ直線のことです。この線上に唇の先が収まるか、少し内側にあるのが理想的とされています。
このEラインを整える目的で矯正を始める人も多いですが、歯の移動だけで改善できる範囲には限界があります。例えば、顎の骨格そのものが後退している場合、歯を動かしただけでは理想のEラインには届きません。外科手術を伴う矯正が必要になることもあり、「期待していたほど横顔の印象が変わらなかった」という不満も、「やめたほうがいい」と言われる一因です。
4. 抜歯で口元が引っ込みすぎる失敗
歯をきれいに並べるためのスペースを確保する目的で、健康な歯(主に小臼歯)を抜く「抜歯矯正」は、ごく一般的な治療法です。しかし、事前の診断や治療計画に誤りがあると、必要以上に歯を動かしすぎてしまい、口元全体が引っ込みすぎてしまうことがあります。
口元が出ている「口ゴボ」とは逆に、鼻と顎だけが目立ち、寂しく貧相な印象(いわゆる「猿顔」のような状態)になってしまうのです。一度抜いた歯は元に戻りません。抜歯の判断は、矯正治療の結果を大きく左右する極めて重要なポイントです。
5. 歯茎の隙間(ブラックトライアングル)が目立つ

特に成人矯正でよく見られる問題です。もともと歯が重なり合っていた部分が整列すると、歯と歯の間の歯茎が痩せてしまい、黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)が見えることがあります。
これは、歯を支える骨がもともと薄かったり、加齢や歯周病によって歯肉が退縮(歯茎が下がる)していたりする場合に起こりやすい現象です。一度できてしまうと自然に治ることは難しく、見た目の問題として大きなコンプレックスになる可能性があります。
【健康リスク編】歯や顎に起こりうる5つの問題
歯列矯正は、歯やその周辺組織に人為的な力を加えて動かす医療行為です。そのため、いくつかの健康上のリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
6. 歯根吸収で歯の寿命が縮むリスク
歯を動かす過程で、歯の根っこ(歯根)の先端が少しずつ溶けて短くなってしまう「歯根吸収」という現象が、程度の差はあれほぼ全ての人に起こります。通常は1〜2mm程度の吸収で、歯の機能に問題はありません。
しかし、稀に歯の寿命に影響するほど歯根が短くなってしまうケースも報告されています。特に、もともと歯根が短い人、円錐状の形をしている人、または強すぎる力で歯を動かした場合にリスクが高まります。
7. 歯肉退縮で知覚過敏や見た目の悪化
歯を動かすことで、歯を覆っている歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こることがあります。歯肉が退縮すると、本来は歯茎に隠れている歯の根元部分が露出し、冷たいものや歯ブラシの刺激で歯がしみる「知覚過敏」の症状が出やすくなります。
また、歯が長く見えることで審美性が損なわれたり、露出した歯根は虫歯になりやすかったりといったデメリットもあります。
8. 矯正中の虫歯・歯周病リスクの増大
ワイヤーやブラケットといった複雑な矯正装置がついていると、食べかすが詰まりやすく、歯磨きが非常にしにくくなります。磨き残しが増えれば、当然ながら虫歯や歯周病になるリスクは格段に高まります。
特にマウスピース矯正の場合、マウスピースを装着したまま糖分のある飲み物を飲んだり、装着前の歯磨きを怠ったりすると、歯が糖分に長時間晒され、広範囲に虫歯ができてしまう危険性があります。歯並びがきれいになっても、歯そのものがボロボロになっては元も子もありません。
9. 顎関節症の発症・悪化の可能性
矯正治療によって噛み合わせが変化していく過程で、一時的に顎の関節に負担がかかり、顎関節症を発症することがあります。症状としては、「口を開けるとカクカク音が鳴る」「顎が痛い」「口が大きく開けられない」などが挙げられます。
もともと顎関節症の既往がある人は、症状が悪化する可能性もあります。治療前に顎の状態をしっかり診査してもらうことが重要です。
10. 噛み合わせが悪化し全身に不調が出る
見た目の歯並びの美しさだけを追求し、機能的な噛み合わせを考慮しない治療計画を立ててしまうと、治療後に深刻な問題が生じることがあります。例えば、「奥歯でしっかり噛めない」「特定の歯だけが強く当たって痛い」といった症状です。
不適切な噛み合わせは、顎の痛みだけでなく、頭痛、肩こり、めまいなど、全身の不調につながる可能性も指摘されています。審美性と機能性の両方を高いレベルで実現できる歯科医師を選ぶことが不可欠です。
【費用・生活編】治療中・治療後の5つの大きな負担
矯正治療は、日常生活や経済面でも大きな覚悟とコミットメントが求められます。
11. 食事ができないほどの強い痛み
矯正装置を装着したり、調整(ワイヤーを締め直すなど)したりした後の数日間は、歯が浮くような、あるいは締め付けられるような痛みが続きます。痛みの感じ方には個人差が大きく、全く気にならない人もいれば、痛み止めを飲まないと眠れない、硬いものが全く食べられず食事が苦痛になる、という人もいます。この痛みが治療期間中、定期的に訪れることを覚悟しなければなりません。
12. 装置の見た目と口内炎のストレス
従来のワイヤー矯正(表側矯正)は、金属の装置がどうしても目立ってしまいます。思春期の学生や、人と接する機会の多い社会人にとっては、この見た目が大きな精神的ストレスになることがあります。
また、装置の凹凸が口の中の粘膜(唇の裏や頬の内側)に擦れて、口内炎ができやすくなります。食事や会話のたびに痛む口内炎が、治療期間中ずっと続くことも少なくありません。
13. 100万円を超える高額な治療費用
歯列矯正は、一部の例外を除き、基本的に保険が適用されない自由診療です。そのため、治療費は非常に高額になります。
| 矯正装置の種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 表側ワイヤー矯正(メタル) | 70万円 ~ 100万円 |
| 表側ワイヤー矯正(審美) | 80万円 ~ 110万円 |
| 裏側(舌側)ワイヤー矯正 | 100万円 ~ 150万円 |
| マウスピース矯正 | 80万円 ~ 120万円 |
上記はあくまで目安であり、これに加えて初回の検査診断料や、毎月の調整料、治療後の保定装置料などが別途かかる場合もあります。この経済的な負担の大きさは、治療をためらう、あるいは始めてから後悔する大きな理由の一つです。
14. 2年以上に及ぶ長い治療期間と通院
歯を安全に動かすには、ゆっくりと時間をかける必要があります。そのため、歯を動かす「動的治療期間」だけでも平均して2〜3年という非常に長い時間がかかります。
その間、1〜2ヶ月に一度のペースで定期的に通院し、装置の調整を受ける必要があります。仕事や学業、プライベートの予定を調整しながら、この長期間にわたる通院を継続するコミットメントが求められます。
15. 治療後の「後戻り」と一生続く保定管理

矯正装置を外した瞬間がゴールではありません。歯には、元の位置に戻ろうとする「後戻り」という性質があります。この後戻りを防ぎ、きれいになった歯並びを維持するため、「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着する「保定期間」が始まります。
リテーナーの装着は、治療期間と同じか、それ以上の期間(場合によっては半永久的に)続ける必要があります。この保定を怠ると、高い費用と長い時間をかけた治療が水の泡になってしまう可能性があるのです。「矯正が終われば全てから解放される」わけではないことを、肝に銘じておく必要があります。
チェックリスト|歯列矯正をやめたほうがいい人の7つの特徴
上記の15の理由を踏まえ、どのような人が歯列矯正で後悔しやすい、あるいは向いていないのでしょうか。ご自身に当てはまるものがないか、7つの項目をチェックしてみてください。
1. 完璧主義でわずかなズレも許せない人
歯列矯正は生体を相手にする治療であり、工業製品のようにミリ単位のズレもなく完璧に仕上がることを保証するものではありません。骨格や歯の形、歯肉の状態など、医学的な限界も存在します。治療後にわずかな非対称性や隙間がどうしても許せないような完璧主義の人は、結果に満足できず、「こんなにお金をかけたのに」と後悔する可能性が高いです。
2. 口腔ケアを徹底できない・面倒くさがりの人
矯正中は、普段の何倍も丁寧で時間のかかる口腔ケアが必須です。毎食後の歯磨きはもちろん、歯間ブラシやフロス、タフトブラシなどを駆使して、複雑な装置の周りを徹底的に清掃する必要があります。この自己管理を「面倒くさい」と感じ、継続できない人は、高い確率で虫歯や歯周病になります。
3. 長期の通院スケジュールを確保できない人
矯正治療は2年以上にわたり、定期的な通院が不可欠です。仕事が非常に多忙で予測がつかない、急な出張が多い、近い将来に転勤や海外移住の可能性があるなど、長期間コンスタントに通院する見通しが立たない場合、治療計画が遅延し、満足のいく結果が得られない可能性があります。
4. 痛みに極端に弱く、ストレスを感じやすい人
装置の調整後に必ず伴う痛みや、頻繁にできる口内炎の痛みに耐えられないなど、身体的な苦痛が大きな精神的ストレスになってしまう人は、長い治療期間を乗り越えるのが困難になる場合があります。痛みを乗り越えてでも歯並びを治したいという強い意志が必要です。
5. 経済的に余裕がなく、費用を捻出できない人
矯正治療は高額です。治療費の総額をしっかり確認せず、生活を圧迫するほどの無理なデンタルローンを組んで治療を始めてしまうと、経済的にも精神的にも追い詰められてしまいます。治療費だけでなく、万が一の追加費用なども考慮した上で、無理のない資金計画を立てられない場合は、始めるべきではありません。
6. 重度の歯周病など口腔内に問題がある人
歯は、歯を支える歯槽骨の中を移動します。そのため、土台となる歯槽骨や歯茎が健康でなければ、歯を安全に動かすことはできません。重度の歯周病がある場合は、まず歯周病の治療を徹底的に行い、状態が安定してからでないと矯正は開始できません。状態によっては矯正自体が不可能と判断されることもあります。
7. 医師の指示を守る自信がない人
矯正治療は、歯科医師と患者の二人三脚で進めるものです。特に、ゴムかけ(顎間ゴム)の使用やマウスピースの装着時間、リテーナーの装着時間など、患者さん自身の協力が不可欠な場面が多くあります。「これくらい大丈夫だろう」と自己判断で医師の指示を守れない人は、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり、後戻りしたりする原因を自ら作ることになります。
逆に歯列矯正をしたほうがいい人|メリットが上回るケース
もちろん、多くの人が歯列矯正によってコンプレックスを解消し、素晴らしい人生を手に入れているのも事実です。以下のような場合は、これまで述べてきたデメリットを上回る大きなメリットが得られる可能性が高いでしょう。
噛み合わせが悪く、咀嚼や発音に問題がある
出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、開咬(奥歯で噛んでも前歯が閉じない)など、見た目だけでなく機能的な問題を抱えている場合です。矯正治療によって、硬いものがしっかり噛めるようになったり、麺類を前歯で噛み切れるようになったり、サ行・タ行の発音が明瞭になったりと、日常生活の質(QOL)が劇的に向上します。
歯並びが原因で清掃性が悪く、虫歯や歯周病になりやすい
歯がガタガタに重なり合っている叢生(そうせい)などは、歯ブラシが届きにくい箇所が多く、プラーク(歯垢)が溜まりやすい状態です。どんなに丁寧に磨いても磨き残しができ、虫歯や歯周病を繰り返してしまいます。矯正治療で歯並びを整えることは、口腔内の清掃性を根本的に改善し、将来的に歯を失うリスクを減らすための「予防治療」としての側面も持ちます。
見た目のコンプレックスが強く、精神的な負担になっている
歯並びが気になって、人前で話すときに口元を手で隠してしまう、思いっきり笑えない、写真を撮られるのが嫌いなど、歯並びが強いコンプレックスとなり、内向的な性格の原因になっている場合です。矯正治療によって自信を取り戻し、笑顔が増え、コミュニケーションが円滑になるなど、精神的なメリットは計り知れません。
将来の歯の健康維持のために投資したいと考えている
不正咬合を放置すると、特定の歯に噛む力が過度に集中し、その歯が割れたり、すり減ったり、歯周病が進行しやすくなったりする原因になります。「8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保とう)」という言葉があるように、長期的な視点で自分の歯を一本でも多く残すための「健康投資」として矯正治療を捉えることができる人は、治療の価値を大きく感じられるでしょう。
後悔しないために!歯列矯正の失敗を避ける5つの鉄則
「やめたほうがいい」という残念な結果を招かないためには、治療を開始する前の情報収集とクリニック選びが何よりも重要です。失敗を避けるための5つの鉄則をご紹介します。
1. 複数のクリニックでセカンドオピニオンを受ける
最初のカウンセリングで「良さそうだから」と即決するのは絶対にやめましょう。必ず2〜3つ以上のクリニックを訪れ、セカンドオピニオン(あるいはサードオピニオン)を受けてください。同じ口の中を見ても、歯科医師によって診断や治療方針は異なる場合があります。治療方針、提示される期間、費用、そして何より医師との相性を比較検討することで、ご自身が最も納得できるクリニックを見つけることができます。
2. 矯正歯科の「認定医・専門医」資格を持つ医師を選ぶ
矯正治療は非常に専門性の高い分野です。日本矯正歯科学会などが認定する「認定医」や「専門医」といった資格は、一定期間の専門的な研修を受け、試験に合格した、十分な知識と経験を持つ医師であることの証です。クリニックのホームページや院内掲示で資格の有無を確認し、信頼できる医師を選ぶための重要な基準としましょう。
3. セファログラムなど精密検査が充実しているか確認する

正確な診断と治療計画を立てるためには、精密な検査が不可欠です。特に、顔全体の骨格を分析するためのセファログラム(頭部X線規格写真)を用いた診断を行っているかどうかは、質の高い治療を受けられるかどうかの大きな分かれ目になります。歯根の状態や骨の厚みまで詳細に把握できる歯科用CTなどの設備が整っていれば、さらに安全で精度の高い治療が期待できます。
4. デメリットやリスクについて正直に説明してくれる医師を見つける
カウンセリングの際に、治療のメリットや良いことばかりを強調し、デメリットやリスク(歯根吸収、後戻りなど)の説明を曖昧にしたり、質問してもはぐらかしたりする医師は信頼できません。治療の限界も含め、ネガティブな情報まで包み隠さず正直に説明し、患者の不安に真摯に向き合ってくれる誠実な医師を選びましょう。
5. 治療後のシミュレーションや治療計画に納得するまで質問する
精密検査の結果をもとに、どのような治療計画で、最終的にどのような歯並びや口元になるのか、具体的なゴールを共有してもらいましょう。最近では、3Dシミュレーションで治療後の歯並びを視覚的に確認できるクリニックも増えています。「抜歯は本当に必要なのか」「費用総額はいくらになるのか」「なぜこの治療法を勧めるのか」など、少しでも疑問や不安に思うことがあれば、遠慮せずに、ご自身が心から納得できるまで質問することが後悔を防ぐ最大の鍵です。
歯列矯正「やめたほうがいい」に関するQ&A
最後に、歯列矯正を検討する際によくある質問とその回答をまとめました。
Q. 大人になってから矯正するデメリットは?
A. 大人の矯正は、子供に比べて顎の骨が硬く、歯の移動に時間がかかるため、治療期間が長くなる傾向があります。また、すでに歯周病が進行していたり、加齢によって歯肉が下がりやすかったりするため、歯根吸収や歯肉退縮などのリスクが子供より高いとされています。しかし、治療へのモチベーションが高く、自己管理能力も高いため、計画通りに治療を進めやすいというメリットもあります。
Q. 歯列矯正は何歳まで可能ですか?ベストな年齢は?
A. 歯と歯茎が健康であれば、歯列矯正に年齢制限はありません。近年では70代、80代で治療を始める方もいらっしゃいます。ただし、顎の成長を利用した治療ができる成長期(一般的に小学校高学年〜中学生頃)に始めるのが、骨格的な問題も改善しやすく、効率的かつ理想的な結果を得やすいという意味で「ベスト」と言われることがあります。
Q. 治療を途中でやめることはできますか?
A. やむを得ない事情で中断すること自体は可能ですが、絶対に推奨されません。歯が中途半端に動いた不安定な状態で放置すると、噛み合わせが崩壊し、治療前よりも悪い状態になってしまう危険性が高いです。また、支払った費用も基本的には返金されません。どうしても中断が必要な場合は、必ず担当医と相談し、可能な限り安定した状態にするための処置を受けてください。
Q. 前歯だけの部分矯正なら「やめたほうがいい」と言われませんか?
A. 部分矯正は、治療期間が短く費用も抑えられるという大きなメリットがありますが、適応できる症例は非常に限られます。奥歯の噛み合わせを無視して前歯だけを無理に動かすと、全体の噛み合わせのバランスが崩れたり、後戻りしやすかったりするリスクが全顎矯正よりも高いと言えます。安易に「簡単・安い」という言葉に飛びつかず、全顎矯正と比較した上でのメリット・デメリットをしっかり理解することが重要です。
まとめ:デメリットを理解し、信頼できる医師と相談することが成功の鍵
歯列矯正は、多くのメリットがある一方で、「やめたほうがいい」と言われるだけの確かな理由、つまり様々なリスクや負担が存在する治療です。
後悔しないための最も重要なポイントは、治療を開始する前に、この記事で解説したようなデメリットをすべて理解し、自分自身がそれらを受け入れられるかを冷静に判断することです。そして、あなたの不安や疑問に真摯に耳を傾け、専門的な知識と技術で最適な治療計画を提案してくれる、心から信頼できる矯正歯科医を見つけることが、成功への唯一の道と言えるでしょう。
「やめたほうがいい」というネガティブな情報は、あなたを不安にさせるためではなく、安易な決断による後悔からあなたを守るための大切な情報です。この記事を参考に、あなたにとって最善の選択をしてください。
【この記事の監修者】
氏名:〇〇 〇〇
経歴:
- 〇〇大学歯学部 卒業
- 〇〇大学病院 矯正歯科勤務
- 日本矯正歯科学会 認定医
- 〇〇矯正歯科クリニック 院長
(免責事項:本記事は歯列矯正に関する一般的な情報を提供するものであり、個々の診断や治療に代わるものではありません。治療を検討される際は、必ず専門の歯科医師にご相談ください。)