矯正の種類を徹底比較!あなたに合うのはどれ?|メリット・デメリット・費用も解説

歯並びを整えたいと思っても、「矯正」にはたくさんの種類があり、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。矯正装置は、費用、治療期間、見た目の目立ちにくさ、痛みの感じ方などがそれぞれ大きく異なります。

この記事では、代表的な矯正の種類である「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」を中心に、それぞれのメリット・デメリット、費用や期間の目安を徹底比較します。あなたのライフスタイルや価値観に最適な矯正方法を見つけるための手助けとなるはずです。後悔しない矯正治療のために、まずはそれぞれの特徴をしっかり理解することから始めましょう。

目次

矯正 種類の一覧比較表|費用・期間・見た目の違いを解説

矯正治療には様々な種類がありますが、大きく分けると「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2つに分類されます。さらに、ワイヤー矯正は取り付ける場所やブラケットの素材によって細かく分かれます。

まずは、それぞれの矯正方法の特徴を一覧で比較してみましょう。ご自身が何を最も重視するのかを考えながらご覧ください。

【早見表】主な矯正装置の種類と特徴

種類 見た目 費用相場(全体矯正) 期間目安(全体矯正) 痛み メリット デメリット こんな人におすすめ
【ワイヤー矯正】
表側(メタル) △ 目立つ 60万~100万円 1年~3年 ・費用が最も安い
・対応症例が広い
・丈夫で壊れにくい
・金属色が目立つ
・口内炎ができやすい
とにかく費用を抑えたい人、幅広い歯並びに対応してほしい人
表側(セラミック) 〇 目立ちにくい 80万~120万円 1年~3年 ・歯の色に近く自然
・変色しにくい
・メタルより費用が高い
・強い衝撃で割れる可能性
費用はかかっても見た目の自然さを重視したい人
裏側(舌側) ◎ 見えない 100万~150万円 2年~3年 ・装置が外から見えない
・虫歯リスクが低い
・費用が最も高い
・発音しづらい
・歯磨きが難しい
誰にも気づかれずに矯正したい人、接客業や人前に出る仕事の人
自鎖式矯正器 △~〇 80万~120万円 1年~2年半 ・痛みが少ない傾向
・治療期間が短い傾向
・通院回数が少ない
・費用がやや高い
・装置に厚みがある
痛みを軽減したい人、治療期間を少しでも短くしたい人
【マウスピース矯正】
インビザライン等 ◎ ほぼ見えない 80万~120万円 1年~3年 ・透明で目立たない
・取り外して食事や歯磨きができる
・痛みが少ない
・自己管理が必須
・対応できない症例がある
・費用が比較的高め
見た目を最優先したい人、食事を気にせず楽しみたい人、金属アレルギーの人

この表はあくまで一般的な目安です。実際の費用や期間は、お口の状態や治療計画、クリニックによって大きく異なります。次の章からは、それぞれの矯正方法について、さらに詳しく解説していきます。

ワイヤー矯正(傳統矯正器)の種類

ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して少しずつ力を加え、歯を動かしていく最も歴史のある矯正方法です。幅広い症例に対応できる信頼性の高さが最大の特徴で、多くの歯科医師が第一選択肢として挙げる治療法です。

ワイヤー矯正は、ブラケットを取り付ける位置によって「表側矯正」と「裏側矯正」に、またブラケットの素材によってもいくつかの種類に分けられます。

表側矯正|最も一般的な矯正方法

表側矯正のイメージ画像

表側矯正は、歯の唇側(表側)にブラケットを装着する方法です。最もオーソドックスで、多くの実績があります。比較的費用を抑えることができ、様々な歯並びの乱れに対応可能です。

メタルブラケット|費用を抑えたい方向け

メタルブラケットは、その名の通り金属製のブラケットです。矯正治療と聞いて多くの方がイメージするのが、このタイプではないでしょうか。

最大のメリットは、他のどの装置よりも費用が安いことです。また、金属製のため非常に丈夫で、治療中に装置が破損するトラブルが少ないのも特徴です。薄く作れるため、装着後の違和感も比較的少ないと言われています。

一方で、最大のデメリットは見た目です。口を開けると金属の装置がはっきりと見えてしまうため、見た目が気になる方や、接客業など人前に出るお仕事の方には抵抗があるかもしれません。また、金属アレルギーの方は使用できない場合があります。

セラミックブラケット(陶瓷)|見た目が気になる方向け

セラミックブラケットは、歯の色に近い白色や透明のセラミック(陶器)でできたブラケットです。メタルブラケットの「見た目」というデメリットを解消するために開発されました。

歯の色に馴染むため、メタルブラケットに比べて格段に目立ちにくくなります。ワイヤーを白いもの(ホワイトワイヤー)にすれば、さらに審美性が高まります。また、セラミックは変色しにくい素材なので、治療期間中に着色汚れが気になることも少ないでしょう。

デメリットとしては、メタルブラケットよりも費用が高くなる点が挙げられます。また、素材の特性上、金属よりも少し厚みがあったり、強い衝撃で割れたり欠けたりするリスクがゼロではありません。

プラスチックブラケット|メタルとセラミックの中間

プラスチックブラケットは、レジン(歯科用プラスチック)で作られた白いブラケットです。セラミック同様に目立ちにくいですが、費用はセラミックよりも安価な場合が多いです。

まさにメタルブラケットとセラミックブラケットの中間的な存在ですが、カレーやコーヒー、ワインなどの色の濃い飲食物によって変色しやすいという大きなデメリットがあります。また、強度も金属やセラミックに劣るため、すり減りやすい傾向にあります。これらの理由から、現在ではセラミックブラケットを選択する方が多くなっています。

裏側矯正(舌側矯正)|誰にも気づかれずに矯正したい方向け

裏側矯正のイメージ画像

裏側矯正は、歯の舌側(裏側)にブラケットとワイヤーを装着する方法です。舌側矯正(ぜっそくきょうせい)とも呼ばれます。

最大のメリットは、装置が外側から全く見えないことです。口を大きく開けても人に気づかれることはほとんどなく、矯正治療中であることを隠したい方にとっては最適な方法と言えます。また、歯の裏側は唾液が循環しやすいため、表側矯正に比べて虫歯になりにくいという利点もあります。

しかし、デメリットも少なくありません。費用がすべての矯正方法の中で最も高額になる傾向があります。また、舌が装置に触れるため、装着当初は発音しにくくなったり、口内炎ができたりすることがあります。歯磨きも慣れるまでは難しく、丁寧なケアが求められます。治療できる歯科医院が限られる点も注意が必要です。

自鎖式矯正器(セルフライゲーション)|痛みを軽減し期間を短縮

自鎖式矯正器(セルフライゲーションブラケット)は、従来のブラケットとは構造が異なる新しいタイプの装置です。

従来のブラケットは、ワイヤーをゴムや細い針金で縛り付けて固定していました。これに対し、自鎖式矯正器はブラケット自体にシャッターのような開閉式の蓋がついており、ワイヤーをその中に通すだけで固定できます。

この構造により、ワイヤーとブラケットの間の摩擦が大幅に軽減されます。摩擦が少ないと、より弱い力で効率的に歯を動かすことが可能になります。その結果、治療初期の痛みが少なく、治療期間も短縮できる傾向があると言われています。また、ワイヤー交換が簡単なため、毎回の調整時間も短くて済みます。

デメリットは、従来のブラケットよりも費用が少し高くなることと、装置自体に少し厚みがあるため、口元の違和感や突出感を感じる場合があることです。

マウスピース矯正(隱形矯正)の種類とブランド

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピース(アライナー)をオーダーメイドで製作し、定期的に交換していくことで歯を少しずつ動かしていく比較的新しい矯正方法です。「見えない矯正」や「隠形矯正」として、近年非常に人気が高まっています。

マウスピース矯正の仕組みと特徴

マウスピース矯正のイメージ画像

マウスピース矯正では、まず精密な歯型を採り、3Dシミュレーションソフトを使って治療完了までの歯の動きを計画します。その計画に基づき、現在の歯並びから理想の歯並びまでを少しずつ変化させた、数十枚のマウスピースが一度に製作されます。

患者様は、1~2週間ごとに新しいマウスピースに自分で交換し、1日20~22時間以上装着することで、計画通りに歯を動かしていきます。

最大のメリットは、透明で目立たないことです。装着していても近くでよく見ないと分からないほど自然なので、見た目を気にする方には最適です。また、ワイヤー矯正のように装置が唇や頬の粘膜に当たる痛みや、口内炎ができる心配がほとんどありません。

さらに、食事や歯磨きの際には自分で取り外せるのも大きな利点です。食べ物が装置に詰まる心配がなく、普段通りに食事を楽しめます。歯磨きも隅々までしっかりと行えるため、虫歯や歯周病のリスクを低く保つことができます。

一方で、成功するかどうかは患者様の自己管理にかかっています。決められた装着時間を守れないと、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり、良い結果が得られなかったりします。また、抜歯が必要なケースや、歯の移動量が大きい複雑な症例には対応できない場合があります。

主要なマウスピース矯正ブランドの違い

マウスピース矯正には様々なブランド(システム)が存在し、それぞれに特徴があります。ここでは代表的な3つのブランドをご紹介します。

インビザライン|世界で最も実績のあるブランド

インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が提供するマウスピース矯正システムで、世界で1,700万人以上(2023年時点)の治療実績を持つ、まさにパイオニアでありトップブランドです。

長年の実績から蓄積された膨大な臨床データを持っており、それらを活用したAIによる精度の高い治療計画シミュレーションが可能です。他のマウスピース矯正では対応が難しいとされる抜歯症例や奥歯の移動など、対応できる症例の範囲が広いのが最大の特徴です。子ども向けの「インビザライン・ファースト」など、年齢に応じた製品ラインナップも充実しています。信頼性と実績を重視するなら、第一の選択肢となるでしょう。

キレイライン|前歯の部分矯正に特化

キレイラインは、「気になる前歯だけをリーズナブルに」というコンセプトに特化した日本のマウスピース矯正ブランドです。

治療範囲を上下の前歯12本に限定することで、治療期間を短く、費用を大幅に抑えることを実現しています。費用は治療の段階に応じて支払う都度払い制が基本で、気軽に始めやすいのが魅力です。ただし、奥歯の噛み合わせを含めた全体の歯並びを治すことはできません。あくまで「見た目が気になる部分だけを少し整えたい」という方向けのサービスです。

シュアスマイル|精密な治療計画が特徴

シュアスマイルは、インビザラインと同様に全体矯正に対応可能なマウスピース矯正ブランドです。元々はロボットがワイヤーを精密に曲げる裏側矯正のシステムとして有名でしたが、その技術をマウスピース矯正にも応用しています。

先進的なソフトウェアと診断ツールを用いて、非常に精密な治療計画を立案できるのが強みです。歯根の動きまで考慮したシミュレーションが可能で、より効率的で予測性の高い治療を目指します。インビザラインと比較すると歴史は浅いですが、その精度の高さから導入するクリニックが増えている注目のブランドです。

目的別|あなたに最適な矯正種類の選び方

ここまで様々な矯正の種類を見てきましたが、「結局自分にはどれがいいの?」と迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、あなたが何を一番大切にしたいか、目的別に最適な矯正方法の選び方をご紹介します。

費用を最優先するなら「メタルブラケットの表側矯正」

「とにかく治療費を安く抑えたい」という方には、メタルブラケットを用いた表側矯正が最もおすすめです。

矯正治療は高額になりがちですが、メタルブラケットは最も歴史が長く、材料費も安価なため、他のどの方法よりも経済的な負担を軽くすることができます。見た目は目立ちますが、その分、確実な治療効果とコストパフォーマンスを両立できる方法です。学生さんや、見た目をあまり気にしない方にとっては最適な選択肢と言えるでしょう。

見た目を最優先するなら「マウスピース矯正」か「裏側矯正」

「矯正していることを誰にも知られたくない」という美意識の高い方には、マウスピース矯正か裏側矯正が二大選択肢となります。

マウスピース矯正は透明でほとんど見えず、裏側矯正は物理的に外から見えません。どちらも非常に高い審美性を誇りますが、それぞれに特徴があります。

  • マウスピース矯正がおすすめな人: 食事を自由に楽しみたい、衛生面を重視したい、金属アレルギーがある、痛みに弱い
  • 裏側矯正がおすすめな人: 自己管理に自信がない、マウスピースでは対応できない複雑な症例、人前に出る仕事で頻繁な取り外しが難しい

ライフスタイルや性格、お口の状態を考慮して、より自分に合った方を選びましょう。

期間を短縮したいなら「自鎖式矯正器」も選択肢

「結婚式や就職など、特定のイベントまでに治療を終えたい」と考える方には、自鎖式矯正器(セルフライゲーション)が有効な選択肢になる可能性があります。

前述の通り、自鎖式矯正器はワイヤーとブラケットの摩擦が少ないため、歯がスムーズに動き、結果として治療期間が数ヶ月単位で短縮されるケースがあります。ただし、これはあくまで傾向であり、全ての症例で期間が短くなるわけではありません。歯の動きには個人差が大きいため、過度な期待は禁物です。担当の医師とよく相談しましょう。

痛みを最小限にしたいなら「マウスピース矯正」や「自鎖式矯正器」

矯正治療には痛みがつきものというイメージがありますが、その感じ方は装置によって異なります。

痛みに不安がある方には、比較的弱い力で少しずつ歯を動かすマウスピース矯正がおすすめです。一枚のマウスピースで動かす歯の移動量は0.25mm程度と非常にわずかなため、痛みを感じにくいと言われています。

また、ワイヤー矯正の中では、摩擦抵抗の少ない自鎖式矯正器も、従来の装置に比べて痛みが少ない傾向にあります。ワイヤーを交換した直後の「締め付けられるような痛み」が苦手な方は、これらの装置を検討してみると良いでしょう。

矯正種類に関するよくある質問

ここでは、矯正の種類を選ぶにあたって多くの方が抱く疑問にお答えします。

Q. どの矯正の種類が一番早く終わりますか?

A. 治療期間は、元の歯並びの状態(症例の難易度)や、個人の歯の動きやすさ、年齢、治療計画によって大きく左右されるため、「この装置が絶対に一番早い」と断言することはできません。

しかし、一般的には、前歯だけを動かす「部分矯正」は半年~1年程度と、奥歯まで動かす「全体矯正」(1年~3年程度)よりも早く終わります。また、全体矯正の中では、前述したように「自鎖式矯正器」が比較的早く治療が進む傾向があると言われています。最終的には、精密検査の結果をもとに歯科医師が提示する治療期間の目安を確認することが重要です。

Q. 矯正で後悔することはありますか?

A. 残念ながら、矯正治療で後悔するケースも存在します。よくある後悔のポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 思ったより痛かった、口内炎がつらかった
  • 理想の歯並びにならなかった(仕上がりへの不満)
  • 治療後に歯並びが元に戻ってしまった(後戻り)
  • 抜歯したことを後悔している
  • 費用が思った以上にかかった

これらの後悔を避けるためには、治療前のカウンセリングが非常に重要です。治療のメリットだけでなく、痛みやデメリット、リスクについても正直に説明してくれる、信頼できる歯科医師を見つけることが成功の鍵です。また、治療後の後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)を指示通りにきちんと使用することが不可欠です。

Q. 歯並びは遺伝するのでしょうか?

A. 歯並びは、遺伝的要因と環境的要因の両方が複雑に絡み合って決まります。

親から子へ受け継がれる遺伝的要因としては、骨格(顎の大きさや形、上下の顎の位置関係)や、歯の大きさ・形などが挙げられます。例えば、顎が小さいのに歯が大きいという骨格が遺伝すれば、歯が並ぶスペースが足りずにガタガタの歯並び(叢生)になりやすくなります。

一方で、指しゃぶり、舌で歯を押す癖、口呼吸、頬杖などの後天的な癖(環境的要因)も、歯並びに大きな影響を与えます。遺伝だからと諦める必要はなく、早期に適切な治療や癖の改善を行うことで、歯並びの悪化を防いだり、改善したりすることが可能です。

Q. 部分矯正と全体矯正で選べる種類は違いますか?

A. はい、選べる装置の種類が異なる場合があります。

部分矯正は、主に見た目が気になる前歯などを対象とするため、比較的軽度の症例に限られます。そのため、キレイラインのような部分矯正に特化した安価なマウスピース矯正や、ワイヤー矯正でも短期間で済む方法など、選択肢が広がる傾向にあります。

一方、全体矯正は、奥歯の噛み合わせまで含めて歯列全体を動かす大掛かりな治療です。そのため、対応できる症例の範囲が広いワイヤー矯正全般や、インビザラインのような高性能なマウスピース矯正システムが必要となります。部分矯正で対応できるかどうかは自己判断せず、必ず専門の歯科医師に診断してもらうことが重要です。

まとめ:最適な矯正種類は専門医とのカウンセリングで見つかる

この記事では、ワイヤー矯正からマウスピース矯正まで、様々な矯正装置の種類とその特徴を解説してきました。

  • 費用重視なら:メタルブラケット
  • 見た目重視なら:マウスピース矯正 or 裏側矯正
  • 期間や痛みを考慮するなら:自鎖式矯正器
  • 手軽さや衛生面を重視するなら:マウスピース矯正

このように、あなたのライフスタイルや価値観によって、最適な矯正方法は異なります。しかし、最も大切なことは、あなたの歯並びや骨格の状態に、その治療法が医学的に適しているかどうかです。

インターネットの情報だけで判断するのではなく、必ず複数の歯科医院でカウンセリングを受け、専門家である歯科医師の診断と提案を聞きましょう。その上で、それぞれの治療法のメリット・デメリットを十分に理解し、納得できる方法を選ぶことが、後悔のない矯正治療への第一歩です。

この記事が、あなたの矯正治療への不安を少しでも和らげ、最適な一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。


※本記事は矯正治療に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の症例に対する医学的なアドバイスを代替するものではありません。治療に関する最終的な判断は、専門の歯科医師との相談の上で行ってください。